■星と過去と君と■

星って好きだな
君は私に言いました。
私は、よくわからなくて、ふぅん、と 呟きました。
返事をするでもなく。
あまり、興味がありませんでした。星、というものに。
君は、話し始めました。
星はとても遠いから、光が届くのに年月がかかること。
今指差す星も、今はもう存在しないのかもしれないということ。
私たちが今望遠鏡で見る星の世界は、その星の過去であるということ。

もしも、他の星から地球を見たら、そこから見えているのは地球の過去であるということ。

私も、君も、いない世界であるということ。

私たちが死んでも、他の星から見た地球には、私たちが存在していること。

それは、とても怖いことのような、それでありながらわくわくするような、そんな話でした。
私は、だけどそれを悟られないように、興味がないように、ふぅん、ともう一度呟きました。
返事をするでもなく。
そして、ふと思って、君の手を握り締めました。
涼しい風が吹き始めた季節でした。