■紅■

君の飲んだコーヒーカップに
べったりしがみついた真っ赤なルージュ
僕はキスしようと
君の顎に伸ばしかけた手をポケットに戻した
だって 唇を付けたりしたら
そのルージュ 僕の唇だって真っ赤にするんでしょ
それって なんかな
だから 吐き気をコーヒーと一緒に飲み込んだ

ねぇ
そんなにべたべたした視線で僕を見ないで
ねぇ
愛なんてそんなもんでしょ
君が家に帰ったら
そのルージュを拭い落とすみたいに
跡も残さずに 消えちゃうものでしょ

もう君はいらなくなったんだ
赤いルージュのせいで
ねぇ
愛なんてそんなもんでしょ