■屋根裏■ その少女は屋根裏に住んでいた 長い間 ずっとずっと屋根裏に どこへも出かけず 空しか見えない窓の下 ずっと古いギターを弾いていた 友達 そんなものは知らない それでも少女は幸せだった 少女は友達を知らなかったけれど それが汚い物だと言うことは知っていた その屋根裏には3匹の鼠がいて 少女の足元を毎晩走り回ったけれど 汚い物は何一つ無かった 鼠は少女のチーズを齧り 傷つくこともなく傷つけることもなく だから少女はそれで幸せだった ある日少女は恋をした 毎朝聞こえる声 汚くないと少女は思った 人間なのに綺麗な声だった 何故かは知らない 少女は久しぶりに外へ出た 世界の広さに一瞬驚いたけれど それよりも声の元へ おぼつかない足取りで駆けた だけど やはり人は汚い物だった 少女は身を持ってそれを知り 屋根裏へ帰り 鼠に向かって泣いていた 人間なんて信じてはいけないと その3年後に 少女は古いギターの弦で首を吊って死んだ 何故かは知らない |